注*「16. 渦巻く妄想」の続編みたいなものなんですが、
結構エロトーク炸裂してます。
なので、既に昭和中期から後期にかけてあっけなく絶滅したとされる(勝手に絶滅させるな)
初々しい処女妻、そのような猪里が好きな方は今すぐウィンドウを閉じた方が無難です。







15.シカト








今日もまた雨。
雨の日は客が少ないのよ。
もう七月も下旬に入るし、梅雨明け宣言もこの前出たのに、今日も雨降り。
こう雨が続くと気分も湿りがちなのよね。売り上げも湿りがちだし。
予算達成できそうに無いわよね……今月も。
ふう。
欠伸を噛み殺して溜息ついて、上りエスカレーターに目を向けてみると、高校生らしき二人連れ。
あのバンダナのイケメン君とふわっとした茶髪の可愛らしー子は……見覚えがあるわ。
えーと……前に下着売り場で……

あの十二支の!!!

どこに行くのかしら?
尾行するっきゃないわよね!
暇だしちょっとぐらいイイわよねー。

そーっと後を尾けて行くと、ココは寝具売り場……!!!


「コレだRo?セミダブル」
「ん。これでよか……たっか!虎鉄割り勘な」
「オレ金ねーYo」
「コレ買わないかんごとなったとは誰の所為ね?」
「……オレ?」
「自覚しとるんやったら払いー」
「猪里チャン、殺生Na」
「俺が払うとくけん後で返せ」
「Haーi ……」


こてつ君たら何ヤラかしたのかしら?
シーツ買うってコトは……?
あ、レジ行っちゃうのね。


「あげに飛ばしよるとが悪かと」
「溜まってたんだっTe」
「溜まっとった言うたっちゃ、おとといもシたやろが」
「お前1回しかヤラしてくんないSi。」
「1回で充分と!俺、髪まで洗い直さんといかんやったろうが」


    「ぶほっ」


あ、振り向いた。一瞬だけど///
怪訝そうな顔しちゃって二人ともカワイー!!!
もー、おネエさんがシーツでもお布団でも買ってあげたいわ!
つーか、やるから持ってけ!!!

「そーいう猪里だって、かなりのモンだったけDo?」
「…………///」
「善がりまくってSa、カナリの量だったZe?いTe!殴んなYo」
「お前があげんこつするけんやろが」
「今日もやってやんYo」
「せんでよか!体が持たんばい」
「して欲しいくせNi」
「欲しゅーなかて」
「Na、早く買って帰ろうZe?なんかこんな話してたらシたくなっTa」
「今日は来んどって」
「いーYa、行くSi」
「シーツ2枚とも洗濯したとい、雨の続いて乾かんけん買いに来たと!また汚れるやろが!」
「Nー……じゃ、ここのトイレ行こーZe」

えええっ?!絶対デバガメするしっ!!!
もー、ブタ箱行きでもイイし!!!
あ、写メは!?(犯罪です)

「アホか!行くワケなかろーもん」
「たまには違うシチュエーションっていうの試してみよーZe?」
「俺は試しとうなか」
「ちぇ」

いのり君ノリわるーい。ホントちぇーだわよ。(常識で考えましょう)

「立ちバックが夢と消えたZe」

た、立ちバ……はう!またはなぢがぁ!!!

「何て?」
「何でもねーYo…………Ah」
「?」
「なあ、コインランドリーってあるじゃん?セブンの近くに。あそこって洗濯物乾かせんだRo?」
「あ!そうたい。行ったこつなかばってんが」
「獅子川の兄貴がよく行ってるみたいだZe。買うよりずっと安いだRo」
「コレ買わんで済むっちゃね♪」

Uターンして、シーツを売り場に戻しに行くのね。
おぉ、近くで見てもこてつ君イイ男だわあ。
いのり君カワイイし♡
あら、1階で食料品買ったのかしら。牛乳とか入ってるみたい?


「シーツも乾くしSa、いいだRo?今日?」
「いかん」
「お願いしまSu」
「お願いされんよ」
「飯だけでMo」
「嫌ばい。これは俺一人で食うったい」
「ケチー」

シーツ棚に戻して……階段で下りるのね。
ああ、もうお別れなのね…………
次の御来店はいつかしら。
鼻血出てるのに涙まで出てきちゃったわ……せめてお見送りさせて頂戴ね。



    「……さん」

踊り場まで下りてっちゃったわ。
あのステッキ持ったおジイちゃんまたベンチ座ってぼーっとしてる。
かなりのお歳みたいだけど大丈夫かしら。

    「……井さん」

え?

こてつ君ちらと周りを見渡したと思ったら、
いのり君の肩抱いて……

キスしたーーー!!!!

きゃーーー!!!、やっだーー!!! 大胆 !!!!!!!
おジイちゃん目が点になってるよ!
いのり君すっごい怒ってるよー!!
おおっ?!あの技は!!!
ジャーマンスープレックス!!!
見事に決まったあああ!!!!!!


    「吉井さん!」

    「は、はい゛!げ、主任……!」

    「うわ、アナタ鼻血?!大丈夫なの?」
    「大丈夫でず!あ゛、ティッジュお持ぢでしたら゛……」
    「はい、あげるわよ。何か今、肉が砕け散るような音聞こえなかった?」
    「ずみません゛……そ、そんな物騒な音聞こえなかったですヨ」
    「確かに聞こえたと思ったんだけど……まぁいいわ。
     ところで、こんな階段脇の壁にベッタリ貼り付いて何してるのかしら?
     随分呼び掛けたんだけど、返事もしないで、シカトぶっこいてくれちゃって」
    「あ、ゴメンナサイ。ストック整理に行こうかと」
    「ほんとかしら?……ところで……高校生の男の子二人組来なかった?」
    「来ましたよ!もう下行きましたけど」
    「え?……ちっ、遅かったか」
    「は?」
    「あら、なんでもないのよ(汗)」

     ---さては、主任も……!

    「あの二人、かばいぃ~~んですよね~~♡」
    「ね、もし今度見かけたら教えてくれない?」  
    「いいですよー。あの二人がどうかしたんですか?」
    「ま、まあ、いいじゃないの」
    「わたしと主任の仲じゃないですかー。教えてくださいヨ」
    「……さっき休憩行った時、生鮮のオバちゃんから聞いたのよ。
     土用の鰻買った男の子がいて、彼氏らしき子が……そのぅ……」
    「主任!勿体ぶらないで早くおしえてくださいヨ!」
    「『これ以上オレに精つけさせてどーすんだYo、今夜もあんあん言わせて欲しいってKa? 』
     って言ってたって!」
    「ぶっ」
    「ちょっ、鼻血吹かないでよ!」
    「あ゛~、もー止まらないでずー」
    「はあ……でも残念だわぁ。可愛いかった♡って聞いたから、見てみたかったのよねぇ……
     ところで、アナタ休憩まだ?」
    「まだデス!」
    「じゃ、いっしょに行かない?そのブラウス着替えなきゃ」
    「ハイ!」




休憩室では、生鮮のオバちゃんも加わり萌話は延々と続いたという。













'04.1.21初出