ある日曜日の夕刻。
十二支ハイツ404号室―――
惰眠を貪り尽くしたらしく、すっかり薄暗くなった部屋で女は目を開いた。
---あら……?アタシ寝ちゃったみたい……?
急いで傍らに転がっている携帯で時刻を確認する。
「嘘ッ!もうこんな時間?!」
---あの子もう出たかな?
あたふたとメールを打ち始めた。
「ト ー ン 買 っ て 来 て 下 さ い ……えーと、どれが要るんだっけ?」
H e l p !
同じ頃、その隣403号室では―――
ピンポーン♪
「Nー?」
虎鉄はノートから顔を上げた。
ピンポーン♪
猪里の部屋なのに、猪里はいなかった。
二人して畑で一汗かいて、帰ってシャワーを浴び、
さていちゃいちゃタイムに突入Da!と飛びついたら、
「俺、夕飯の買い出しに行かんば。虎鉄、数学の課題ばやっつけといてくれんね」
とにべもなく肘鉄を喰らったのだ。
---猪里がいないってことは、やっぱオレが出なきゃいけないんだよNa……
ピンポンピンポン♪
「あーもう、しつけーNa……Haーい!」
がちゃり。
「宅急便で~す」
猪里の実家からまた何か送って来たらしい。
見覚えがあるような無いようなその配達員は、
手慣れた風に玄関に踏み込み、框に荷物を置いた。
「ハンコお願いしまーす」
にこりと営業スマイルを浮かべて、受け取り票を差し出した。
「サインでいいっすKa?」
「いいですよ。はい」
ボールペンを渡され、ドアに伝票を貼付けるようにして、サインした。
---虎鉄……と……あ!
「……やべ、自分の名前書いちまっTa」
「とらてつくん?」
「コテツでSu」
「あ、すまん」
間違えたことと間違われたことの両方が虎鉄をくすぐった。
「Haha、いいですYo」
自分の名前を黒く消し、[猪里]と書きながら笑った。
「ここの部屋の人の友達?」
見たところまだ二十代半ばの配達員は、気安そうに話しかけてきた。
「そうっすYo」
「高校生?」
「うん、2年」
答えながら虎鉄は、配達員の肩越しの風景をぼんやり見遣る。
彼の後ろには、暮れなずんだ景色が広がっていた。
---やっぱ……一緒に行きたかったNa……
オレ一人に課題押し付けるなんてヒデェYo……猪里……
「……ような気がするよ」
「Ha?」
「二週間に一度はここに配達に来てるような気がするって言ったの」
「ああ、実家から山ほど米とか野菜送ってくっかRa」
「高校生なのに一人暮らしなんだ?」
立ち入ったことを聞いてくるNe、と思うけれど、
元来話し好きな虎鉄は、さほど気にならなかった。
「オレら野球部なんすYo……それDe」
話が長くなりそうな予感がして、虎鉄は鉄のドアに凭れ掛かった。
薄地のタンクトップを着た背中に、鉄の感触がひやりと冷たかった。
「へえ、野球部か!おれもやってたんだよね」
「そーなんすKa?」
「こっからだと……華武は遠いよな……どこだろ?」
十二支っすYo、と言おうとして遮られた。
「セブンブリッジか?」
小さくかぶりを振る。
「あそこも遠かったな……あ!ひょっとして十二支?!」
「当たRi」
「十二支か……あたったことある筈なんだけど、あんまし覚えてないな」
カチンときた。
「十二支は……」
何なんだろう?
続きを促すように虎鉄は男を見上げた。
この配達員は背が高い。
その上、重い荷物を扱ってる所為か逞しい体つきをしている。
「最近名前聞かないけど、どうなの?」
「いいですYo。絶好Cho!」
「ホント?」
「ホントっすYo。今年は絶対いいトコまで、つーか優勝しますかRa」
少しムキになってしまう。
「じゃ、応援するよ。母校の次にね」
「Haha、そりゃどーMo……おニイさんも配達ガンバッTe」
愛想笑いで濁して、虎鉄はドアノブに手を掛けた。
取り留めも無い会話は、ここで終る筈だった。
が、
「勉強との両立も大変でしょ?」
また違う話題を振られてしまった。
「うーN、そうっすNe……今も課題に苦しめられてるとこなんすYo。」
---だから早く課題に戻らせてくれYo。晩飯抜きにされちまうっTe!
笑顔で返しながらも、心中は穏やかではなかった。
「そうなんだ……なんの課題?」
「数学っすけDo」
「おれ、数学わりと得意だったよ。手伝ってあげようか?」
これは、渡りに船と乗っかるべきなんだろうか?と虎鉄は迷う。
「仕事中だから、全部ってワケにいかないけど」
爽やかな笑顔だ。
ネームには「丸尾」とある。
「えーと、丸尾さん……?」
「おう」
「……じゃ、お願いしよーかNa?」
「おう、いいよ」
少々躊躇うも、人の良さそうな笑顔に押し切られる形となった。
「ああ、これはね……」
部屋に通すと、おニイさんはさっそく取りかかってくれた。
虎鉄は呑気に見守るだけである。
「よくわかりますNe」
「数学は、わりと得意だったんだ……あとは体育だけかな」
「Hahaha、オレも体育だけっすYo。英語はまあまあなんだけDo」
「英語?!英語が出来るんなんて、すげーな」
会話しながらも次々と問題を解いていくおニイさんは、頼もしく思えた。
「コーラと麦茶しかないけど、飲みまSu?」
「じゃ、コーラもらおうかな。悪いね」
彼がコーラを半分ほどごくごくと飲み、ことんとグラスをテーブルに置くと、
まるでそれが合図だったように、沈黙が部屋に満ちた。
---猪里の部屋に他人といるってのは、おかしな感じだNa。
「君さ、この前は頭にバンダナしてたよね?」
おニイさんは、さらさらとペンを走らせながら問い掛けた。
「?」
バンダナはだいたいいつも着けてるけど?と訝る。
「先月の……頭ごろだよ」
いきなり顔を上げたかと思うと、ねっとりした視線に射すくめられた。
---Ahー、思い出しTa。柏餅が届いた時Da。
「すごい記憶力ですNe」
「ああ、気になったんだ」
---何Ga?
「なんつーかさ……二人、付き合ってんでしょ?」
含みのある笑いを顔に張り付かせ、臆する事も無く言い放った。
「………………え?」
「隠しても駄目。わかるよ、おれもコッチだもん」
虎鉄は、二の句が継げなくなって、ポカンとしてしまう。
「……Ha?」
「君のことさ、可愛いって思ったんだよね。この前」
---What's?!
顔を直視されたかと思うと、いきなり手首を掴まれた。
「ちょ、や、止めて下さいYo!」
虎鉄は焦りに焦った。
男の手は汗でじっとり湿っていて、有無を言わさぬ力があった。
「いいじゃん?」
にじり寄られる及んで、虎鉄は悟った。
自分の体は狙われているのだ……ターゲットロックオン状態なのだと。
「よ、よ、よくないっすYo!デ、デ、デカイ声出しますYoッ!」
「震えちゃって、可愛いなあ……おれ、君みたいな子タイプなんだよ……」
---マ、マジーーーッ?!
その頃、
某IY堂の店内で、猪里は食材選びに余念が無かった。
「晩飯、何にしようかいなあ……」
そして、猪里が立っている鮮魚コーナーの後方では、ある女が彼を伺っていた。
---いのりくん……ああ、なんてひさしぶり♡……今日は彼氏と一緒じゃないのね……
特売の納豆を選ぶフリをしながら、ある女=吉井は、猪里の横顔を遠巻きに見詰めていた。
---今日もかっわいー♡
今日珍しく早番だった吉井は、既に仕事を終え、私服に着替えていた。
この後一人暮らしをしている先輩の部屋を訪れることになっていて、
彼女は殊勝にも、お菓子と飲み物を買って行こうと思い立ち、食品売り場に寄ってみたのだ。
---私服もかっわいー♡
「なんかなし……視線ば感じるっちゃん」
猪里の背中がぞくぞくするのは、店内に行き渡った冷房の所為だけではないようだ。
吉井の携帯が鳴った。メール着信である。
「え?トーン……?」
---せんぱいってば……!
やっぱりあたしに手伝わせる気だったのかよ……ムキー!
遊びに来てよご馳走するから♡なんて寄越すから期待してたのにぃ!
吉井は地団駄を踏みたくなるのを堪えた。
ここは職場なので、従業員は見知った顔が多い。
先程も生鮮のオバちゃんが「いのりくん来てるね♡」と言いたげな目配せを送ってきたばかりである。
---また手伝わされるのかよ……これじゃまるっきり学生時代の延長じゃんよ……
ひょっとして……今晩…………徹夜?
吉井はがっくりと項垂れた。
「バッくれようかな……」
そんなことを呟いていると、注目の人物の携帯も鳴ったようで、
悠然と開いて耳に当てている。
「はい?」
---こてつくんからかな?
あーもー、♪さかなさかなさかな~♪ってうっさいわ、ほんまに。
エンドレスで流れている販促ソングを疎ましく思いながら、吉井はさり気にそばに寄った。
魚の切り身の品定めをしている風を装うのは忘れずに。
「荷物?まだ届いてなかと……うん。
あー?俺、今スーパーにおるっちゃけんが。
え?間違えたと?……18時までに届くっちゃね?
ああ、友達が部屋におるけん、大丈夫っち思うと……
……何入れてくれたと?茄子?それから?え?トウモロコシ……」
---良く聞こえないけど、たぶん九州弁よね……これ?
「……勉強?……まあまあたい……うん、父さんも気ぃつけて。はい、ありがとねー」
ピ。
猪里は、届く野菜の内容を聞いて、今晩は麻婆茄子にしようと肉の売り場に向かった。
そして、選地眼ならぬ、選"食材"眼でぐるっと見渡してから、
どれも同じっちゃんね……と溜め息を一つ、豚ひき肉のパックを一つ選んでカゴに入れた。
---ああ、はよ帰ろ。
こんスーパー……変か地縛霊の憑いとるっちゃないと?
背中のぞこぞこするっちゃん。
所変わって、再び403号室。
虎鉄は手首を掴まれたまま、説得に必死だった。
封じられているのが、腕…それも右腕なので、無茶はしたくなかった。
出来れば穏便にことを収めたくて、
つつがなく帰って頂く手立てはないものかと混乱した頭で考えた。
この大切な時期に怪我だけはしたくなかったのだ。
「い、猪里、もうすぐ帰って来るんですYo!」
「そう?だったら3Pとかしちゃう?」
「イヤイヤイヤ、無理でSu!絶対無理でSu!」
「おれ……君みたいな子、タイプなんだ……」
---何回も同じこと言ってんじゃねーYo!
「君みたいなさ、細身で……キレイな吊り目の子が。
……これまで付き合ってきたコもみんなそうだよ」
---アンタの好みとか恋愛遍歴とか、聞いてNeーっつーNo!
早く帰ってきTeーー!猪里ーーー!!!
オレ、奪われちゃうーーーッ!!!
吉井は文房具店に向けて自転車を漕いでいた。
赤信号で止まると、
これまた自転車に乗って信号が変わるのを待っている人物が目に止まった。
---あ、いのりくん!今日で二度目!奇遇!てか、ラッキー!
茶色いふわふわの髪とその下の白いうなじ、
高校生男子にしてはやや小柄な後ろ姿を、吉井が見間違える筈がなかった。
信号が青に変わり、それぞれの目的地に向かってペダルを漕ぐ。
しかし吉井は、先輩に頼まれたおつかいのことは都合良く忘れたようで、
文房具店の前を素通りしてしまった。
---ウチの店で買い物して帰るんだ……
休みの日に家の手伝いするなんて、今時珍しい子よね。
先ほどの親からかかって来たらしい電話は、販促ソングの所為でよく聞き取れなかった吉井であった。
それにしても、この道が先輩宅に続く道なのが、吉井には少々不思議だった。
これはひょっとすると、家が非常に近いのではなかろうか?
---どこまで一緒に行けるかな?
てか、このまま後付けちゃおうかなー……
いやいやいや、それ犯罪だから!
などと、甘く密やかな葛藤を楽しみながら走った。
しかし、坂がきつくなってくると、そうも悠長に楽しんでいられなくなった。
先ほどから吉井は喘ぎながら登っているのだが、
自分とほぼ同じ位の体格と見えた標的は、どんどん遠ざかっていくばかり。
こっちはとっくに脇目もふらぬ立ち漕ぎであるのに、彼は何でも無いようにすいすいと登り行く。
---さ、さすが、野球部……参りました……ゼェゼェ。
辛うじて見えていた後ろ姿は、とうとう夕暮れの道の曲がり角に消えた。
先輩の住む古ぼけたワンルームマンションに着き、
吉井は、自転車置き場に自転車を停めた。
エレベーターで4階に上がり、
403号室の前を通りかかると、勢い良く宅配便の配達員が飛び出て来た。
かなりの慌て様で、吉井はあやうくぶつかりそうになった。
何を慌ててるのかしら?と何とはなしに見てみると、
403号室は、その幅約5センチ弱といったところだろうか、ドアが完全に閉まっていなかった。
ドアストッパーでもかませているのかとチラと視線を落としてみれば、
スニーカーの片方が引掛って、閉まり切っていないのだった。
先ほどの配達員がこれを蹴り飛ばしたのは、想像に難くない。
---スニーカー蹴飛ばしていくなんて、行儀の悪い配達員ね……
そんなことを思いながら、ぼんやりと徹夜を覚悟しつつ通り過ぎようとすると、
聞き覚えのある声が漏れ聞こえて来た。
「猪里~~!」
---え?いのり?
表札とは名ばかりのプラスチックのプレートを見上げると、たしかに「猪里」とあった。
---えええ?ココっていのりくんの部屋だったの?!
---いのりってこんな字書くんだ!いのししの里かよ!
ここってワンルームだから一人暮らししてんの?
ひょっとしてこてつくんと同棲してるとか?!
納得やら新たなる疑問が頭の中で渦を巻き始めた。
そして吉井が次にとった行動はと言えば、堪えきれずドアの隙間から中を覗き込むことだった。
残念なことに、散乱した履物や届いたらしき段ボール箱の一部しか見ることが出来なかったが、
声はかなり明瞭に聞こえてくるようになった。
猪里の声は宥めるような優しい声で聞き取りにくいが、
虎鉄の声は、興奮しているらしくやや大きめで、よく聞こえて来た。
「オレ、スッゲ、恐かっTa」
「オレ、数学の課題みてくれるっていうかRa、あんなヤツって知らなかったかRa、」
「押し倒されて、ぬ、脱がされそうになっTe、」
「キモかっTa!もーやDaー!」
---こてつくん、お、お、襲われたのッ?
声だけではどうにも物足りなくなって、
しかし流石の吉井もドアを開けるのは憚られ、
いけないと思いつつも中腰になり、ドアの郵便受けの蓋をそーっと押し上げ、中を覗こうとした。
先輩の部屋のそれは内側の目隠しのネジが外れ、雑にガムテで貼っ付けてあった。
ひょっとしたら、この部屋も?
目隠しが外れていたら?と期待したのだ。
---中の人に見つかりませんように……そーっと…そーーーーっと……
「吉井?!」
「いッ?!」
ビクッと驚き、振り向くと、懐かしい先輩が立っていた。
「……何やってんの?のぞき?」
「……え?あ?」
吉井は自分のデバガメっぷりに今更ながら狼狽え、
後ろ髪を引かれながらも、注意深くドアから体を離した。
「お隣、どうかした?なんだか騒がしかったけど?」
「先輩んち、いのりくんちの隣だったんですね……」
「あ?ああ、たしか高校生の男の子だったと思うけど」
「茶髪で、背が高くなくて、カワイイ感じの子ですよね?」
「……うーん?そだっけ?」
「もったいなーい!」
「何が?!」
「すぐ隣の部屋で、男子高校生同士がアンナコトやコンナコトしてるってのに!」
「へえー……そうなの?(棒読み)」
「……先輩……心底どうでもよさそうですね……」
「だってほら、わたし、大人好きじゃん?」
「大人ってか、先輩のはオヤジですよね」
「あはは、そうとも言うな。若い子には興味ナッシング」
今更言われなくともわかっとるわい!と吉井はキレそうになった。
何と言っても今夜自分は、すね毛や無精髭も悩ましいオヤジ同士が絡む原稿を手伝わされる身なのだから。
「で、買ってきてくれた?トーン」
「あ!」
信号待ちでいのりくんに出会ったものだからついフラフラとここまで来てしまったなどと言えるワケもなく、
吉井は潔く謝ることにした。
「すみませーん、忘れました!」
仕事柄、頭を下げることには慣れていた。
「しょーがないなあ……ま、後で買いに行くわ」
その夜、403号室では、
麻婆茄子や冷や奴、トマトサラダをおかずに三杯飯を食べ終え、
食後のお茶を飲みながら、猪里はやや含みのある表情を浮かべた。
「なんだYo?」
「ん?ちこっと不思議ばいね~と思っただけたい」
「何Ga?」
「お前んこつやけん、
猪里になんかあったら大変だから引っ越そうZe!とか言い出して、大騒ぎするとかいな?
って思うたばってん、なーんも言わんけん……」
「そッ、それは……」
「何か理由がありそうやね?」
「…………」
「虎鉄?」
「……笑わないKa?」
「そげん言わるっと、自信なかっちゃんね」
「なら、言わNe!」
「ああ、ごめんごめん。笑わんけん教えてくれんね?」
「……言いにくいNa……」
「はよ!気になるっちゃろうが!」
「…………アイツさ、」
「うん?」
「……オレが……好みだって、言っTa……」
「えっ?」
「だかRa!オレみたいなのがタイプなんだとYo!」
「…………」
「目がイイだとか、髪が綺麗だとか、細い腰が抱き心地良さそうとか、
足首も細くてソソるとか、キモいこと、イッパイ言われたんだYo!」
「…………ぷっ」
「アッ、ヒデェ!笑わないって言ったのNi!」
「あはは、ばってんが、あははははは!」
404号室―――
肝心の原稿は、徹夜しても終らなかった。
部屋に入るやいなや、壁に耳を押し当て、
「まだ始まらないですね……やっぱ夜ですかね?」
と残念そうに問う後輩に、
「何が始まるって言うのよ?」と返しながらも、
何とかなるだろうと思っていた先輩は甘かったのだ。
救世主の筈の後輩は、
描いたり塗ったり切ったり貼ったりが一段落する毎に壁に耳を押し当てようとするし、
黙々と励んでいる様子に一安心と覗き込んでみれば、
頭にバンダナを巻いた男子と鼻に絆創膏を貼付けた男子が見つめ合ってる絵などを、
一心不乱に描いているのだった。
こんな風に、使い物にならない後輩に業を煮やしながらの作業だったので、
疲労も二乗となり、人選を誤ったことを呪うべきなのか、隣室の若い男カップルを呪うべきなのか、
朝日の中で泣きたくなる先輩なのだった。
('07.7.1初出)