移動教室向かう時、
廊下で虎鉄とすれ違った。









勝手にしやがれ








「お前なあ、付けてやんなよ」
左胸を指先でビッと突いてやった。
「Ah~、見Ta?」
「体育あったからな」
「らしいNa」
「らしいってなんだよ。生々しいだろうが!見せられるほうの身にもなってみやがれ!」
「お前乳繰り合ってるみたいだから見んのヤDaって言ったんだってNa」
「へぇ、もう彼氏にチクられちまったよ」
「昼休憩の時、猪里が顔真っ赤で、
 どこにつけたと?怒らんけん言って、って言うからSa、
 夢中だったから、覚えてNaいって、嘘ついたんDa。
 背中付いてるか見てやるっTe、便所連れ込んDe、
 ドサクサで触りまくっTe、ちゅーもできTa ♡」
「畜生、ノロケかよ!」
「おかげで美味しく戴いたZe。Thank you、長戸」
「はぁ……お前ら、周りにバレないようにしねーと、面倒なことになるぞ」
「猪里は大丈夫だRo、しっかりしてるもん」
「そうかぁ?なんつーか、さっきの授業中とか、ダダ漏れてたぞ」
「何Ga?」
「色気が」
「マジDe?!」
「マジマジ。
 頬杖ついてぽーっとしちゃって、昨日のコトとか思い出してたんじゃねーの?」
「見ッ、見たかッTa!」
その時虎鉄には、俺の後方に、猪里が歩いて来るのが見えたらしい。
まったくコイツは、なんつー顔をするのかね。
恋しちゃうと、ここまで腑抜けたツラになるもんかね。
てか、中坊の時、こんな顔見せたことあったっけ?
猪里は猪里で、俺らの側通り過ぎる時、
ちらっと虎鉄を見遣りながら、なんか恥ずかしそうに頬染めてるし。

「お前といい、猪里といい、ダーダーダーダー漏らしやがって」
「HaHa、蛇口イカれたみたいじゃねーKa、それ」
「俺、水道屋じゃねーんだから。なぁ、気ぃつけろや」
「わかっTa、わかっTaって」
「鈍感な俺でも気づいたってことはどういうことなんか、わかってんだろーな?」
「Ahh、気ぃつけるYo」
「火のないところに煙は立たねーって言うだろ、
 火事になっちまったら、お前はともかく、猪里がかわいそうだろ」
「お前、水道屋だったRi、消防士だったRi、忙しいヤツだNa」
「……ん?消防士って、
 なんで俺がお前らの面倒火消しすんの、前提になってんだよ」

その時、授業始まるって、チャイムが鳴りだした。

「……ま、そん時は、
 長戸隊員、ヨロシクってことDe。じゃーNa」

「ッ!知るかよ!勝手にしやがれ!」




……あれ?

何で俺、「勝手にしやがれ!」なんて言ったんだ?
勝手されて、コッチまで火の粉が降り掛かったら、フツーにダメだろ。

そこは、「知るかよ!」で締めとくべきだろ。

……俺、この二人に振り回されるの、案外好き……なんか?











よりぬきお題さん。