オレんちのリビング、


ソファに座って。


愛しの猪里は……


オレの腕の中。










リセット









「あ、大きかぁ……」
「……猪里……」
「あ、ん、たいが……!」
「…………」
「も、ぅ、あ、」
「…………」
「んっ!」








「…………!」
「Ahー……」






「まーた、フナやん!もうフナいらんと!」

TVの画面では魚がぴちぴち跳ねてて。

ハァ……。

猪里が何匹か目のフナを釣り上げて「フナげな食えんやん!」とオカンムリなのは、
オレの姉貴所有のゲームソフトで「ど●ぶつの森+」っていうヤツDa。
釣りが出来るらしくて、猪里は大物を釣り上げようとさっきから頑張ってるんだけDo、
なぜか雑魚ばかり釣れるらしくて、イライラしてRu。

「うわ、お前……!」
「 N?」
猪里の視線の先は……ヤベ、オレの……

「そげん前突っ張らかしてからくさ、ヤラしかっ!」
「猪里がエロい声出すかRa」
「そげな声出しとらんばい!」
「『あん、ダメッ……!』っTe」
ちょっぴり高めな猪里の声を真似ようとしたら、声がひっくり返っちまっTa。



あ?

ちょっと待っTe、いの、


ゴふぅっ!





…………………………くぅーーーッ……!


……ぅをい!
彼氏に喰らわせるよーな拳じゃねーだRo、コレWa!
ぃ、痛ェYo……スッゲー、効いたYo……!

Huh……オンナノコならちょっと肘鉄喰らうぐらいで済むんだけDo、
なんてったって、マイハニーは、男だかRa。
それも腕に覚えのある奴ときてるかRa……


……ハァァ。


何でため息ばっかついてんのKaって?
聞きてーNo?
それはだNa……
猪里がヤラせてくれないかRa。
え?
身も蓋もない言い方すんなっTe?
悪ぃ、悪ぃ……でもSa、
健康な高校生男子であるオレとしては、もう限界なんDa……
何が限界かってーTo、
この前の、すったもんだの初Hから3週間ばかし経ってTe……
ぶっちゃけ言うTo、
オレ、猪里を吸ったり揉んだりしたくて、タマラナイんDa!
(虎鉄サン「すったもんだ」の意味も字も違いますよ…)
正直、DoーにかなりそうなんだYo!

言い忘れたけDo、
オレ、明日の夜まで一人で留守番なんだYo。
オフクロは今朝から単身赴任中の親父の処に行ってるSi、
姉貴もどっか行っていないしSa……
チャンスJan?
猪里と一緒に過ごしたくて「泊まりに来てYo」って誘ったら、
ちょっと考えてたけど、恥ずかしそうに「よかよ」って言ってくれたTa。
「嫌ばい」って拒否られると思ってたから、スゲェ、嬉しかっTa!

と・に・か・Ku、
オレの期待は、猪里が玄関で靴脱いだ時から既にMAX状態……!

……なのNiッ……!

「キューブ……ニン●ンドーやんね。俺ここのゲームあんまし好かんたい」
「なんDe?」
「なんでんよかやん……やってみよーかいな?なあ、よか?」
「いいZe」

すぐ飽きるだRoと高をくくってたオレが甘かったのKa?

キャラを「たいが」って名前にして、
現れ出でたソイツの目付きがオレに似てるっTe、ひとしきり笑っTe。
画面の中、初夏の緑溢れる村の中をコイツは縦横無尽に飛び回ってRu。
「なん?たいがはパシリなん?」とか不服を言いながらも住人のお使いをこなしたRi、
虫取り網で蝶々を捕まえたRi、
さっきはエロい声出しながら(本人は否定してるけDo)釣りに熱中してたSi。
「な、コレ野菜の苗は植えられんと?果樹園は出来たけん、次は畑作りたか!」
「畑?」
ハニーのためにせっせと攻略本を捲ってみたけDo、畑は作れねーみたいだNa。
そう告げると、
「トマト植えゆーかいなて思うたとに」
マジでガッカリしてる声……猪里ちゃんはホントに野菜が好きですNe……

……しかし、なんつーKa、ホント、
オレの存在なんてOUT OF 眼中みたいですNe。

もう拗ねちゃおっかNaー…………

ハァ。

……ってな、ため息なワケYo。
ちょっと長かったけど、わかってくれTa?
ピュアなベイベー達には、ちと刺激が過ぎたかNa?

この体勢はオイシイんだけどNa……
両腕で輪っかを作って、その中に横から閉じ込めちゃっTe♡
猪里はウザそうに「ちょ、離れぇー」ってやんわり押し退けようとするけDo、
離さないZe~とばかりにギュッってすると、
それ以上は押してきたりしないで大人しく抱かれてRu。
なんだかんだ言っても、オレってば愛されちゃってるよNa?
焦ることないKa……明日の夜まで二人っきりだしNa。
今はゲームに熱中してるけど、その内飽きるっTe♪


「ココとか誰かの家なん?」
「ソコSa、姉貴の家だZe、入ってMi?」
「え?」
お伽の国に建ってそうな家が四軒並んでて、
たいがが立ってるのは確か姉貴のキャラが住んでる家の前Da。
ヘンな埴輪がくねくねしてて、
姉貴のヤツが「なんかアンタみたい」って笑いやがったから覚えてRu。
「入っていいんだZe?」
「……いや、俺よかよ……」
赤くなっちゃたりしTe、さては女の部屋に入るのが恥ずかしいんだNa……
そんな反応されると、からかいたくなってくるだろGa!
「べつにウチの姉貴が下着姿でウロウロしてるワケじゃなSi、入ってみたRa?」
「ばっ、ばかなこつ言うんやなか!」
「猪里ぃ~、ひょっとして恥ずかしいNo~?」
「……ッ、入ればよかろーも!」
ムキになっちまっTe、カワEーったらありゃしNai!




「「うわー……」」

…………な、なんだコレ?

「綺麗かよー」

綺麗だし上品な部屋Jan?タンスとかベッドとか全部統一されててYo。

スッゲー……なにコレ?
乙女?深窓の令嬢?!
攻略本で確認してみたら、ロイヤルシリーズだTo?
部屋の隅にはでっかい熊のぬいぐるみまであるSi、
白いピアノなんて置いてあるけDo、本人とっくの昔に止めちまったじゃねーKa。

……さっき、この本でみたZo、ヤツが拾って来たモノ……どこだっけKa?……お、コレDa。
「高校の時、酔っぱらって、
 こんなカンジの工事のお願い看板どっかからパクって帰ってYo、
 オフクロに滅茶苦茶怒られたヤツの部屋とは思えねーZe……ったくYo」
「ははっ、それほんなこつ?!」
「ホントだっTe。こんな牛尾サンが紅茶飲んでそうな部屋、有り得Neー!」
「なんや信じられんばい」
「上行って見てみろYo、オレの部屋とイイ勝負だZe?」
「いや、遠慮しとくったい」
「アイツ二重人格Ka?……男を取っ替え引っ替えしてるクセにYo」
「なんかなし、よう似とう姉弟ごたるばい」
「ハァ?猪里何言ってんNo?」
「似とるっちゃろ?取っ替え引っ替えって」
「ソレ、聞き捨てならねーNa。
 オレ本命にはスゲー堅ぇんだZe。姉貴とは違うNo!」
「どうやらね……な、どげんしたらこげな部屋に出来ると?」
「猪里、んなコトより、オレが今言った意味わかってRu?」
「はいはい、わかっとーよ、本命には堅いっちゅーハナシやろ?」
「肝に銘じとけYo!」
「はぁ……俺とんでもなかヤツに捕まってしもぅたばい」
「離さないZe~~♡」
「……わかったけん、な、俺の家ももちっとマシにしたかとよ」
そういや猪里の家(たいがの家だけDo)、みかん箱がテーブルになってるもんNa。
敷物は、リリアンとかいう鹿目先輩みたいなほっぺした住人におしつけられたムシロだSi。
かと思えば、浜辺に転がってたカモメ助けて、お礼に貰った甲冑なんか飾ってあってSa。
ここまで統一性が無い部屋も珍しいよNa。
「どんな部屋にしたいんDa?」
「えーと……、あ、こんなん好きと、階段箪笥!」
「Hoー、いいんじゃNe?」
「あと、これも、透かし彫りのテーブル!」
「茶箪笥とKa?」
「ん、よかねー」

あ、コレっTe……
これから結婚するカップルが、家具のカタログ見ながら、
こんなのどう?ああ、いいぜ、お前の好きにしろよ、ってな会話みたいじゃNe?
……ぐふ♡







---1時間経過---






…………。





………………Why?





………………なんDe?どーしTe?





オレ、何が嬉しくて、
猪里の横でこんなゲームいーーーっつまでも見てんだYo。

つまんねーYo!

オレらぐらいの男が観るっつったら、エロビだろーGa、フツーはYo!
長戸淳平クンのオススメなんだけDo、
バッチシ借りて来てんだZe、オレはYo!
ま、二人で観て、猪里の反応も愉しんじゃOhー、二倍愉しんじゃうもんNe~♡
っていうオレの企みは、ちょっとアレなのかもしれないGa……
でMo!
折角の休み、可愛いハニーが泊まりに来てくれTe、
あまつさえ腕の中なんだかRa!
もーそろそろタンスとか魚とか虫とかはイイだRo?
こうやってくっついてると、すべすべの肌とか……体温とか……
部活あったから、風呂入って来たのかNa?
洗い髪の匂いも……タマンナイSi。

なんか、オレ……、

なんかもぅ限界……ッ!!

「猪里、おねGai……!」

辛抱堪らんオレは、とうとう猪里を押し倒しTa。
「な、なんね?!いきなりっ!」
クッションに猪里の頭がぽふんと沈んDe、
前髪がふわっと分かれTe、可愛いおデコが現れTa。
「ゲームなら後でしYo、Na、もっとイイコトしYo?」
コントローラーを取り上げ、ソファの下に落としTa。
「い、や、ばい!」
逃げようとするのを上からしっかり押さえつけTe、
「きっ、さん!」
目一杯足を伸ばして、キューブのリセットボタンを足指で押しTa。

ピッ。

「あっ!」

OK、これで専念できるZe~!

「せっかくお金貯めたとにぃー!」
「後でオレが稼いでやるYo」
「ばか、ばか、こて、っ、ぅ……ん」
ばかばかってウルサイ口をオレの口でふさいDe、
押し上げてくる手にのしかかっTe、
こっからは、独壇場とイかせて戴きますKa☆



♪~♪~♪~……

ゲームの音がウZeー……テレビ消せばよかっTa……いやいや、今は猪里に集中Da!

白い首筋にキスするTo、
「ぁ、」って小さく声が漏れるのがタマラNai。
こんな声、誰にも聞かせたくNaiって熱くなる一瞬Da。



♪~♪~♪~……

あーもう!やっぱ集中できNeー!
リモコンどこだっKe?
思った瞬間、隙をつかれTa。

ガタッ!

猪里はソファから脱出しTa……というか、転げ落ちTa。

「なんばしょっとか!」
ぷんすか怒りながRa、乱れた服をなおしてRu。
やっとこさ下ろしたカーゴのジッパーも上げちまっTe。
Ahー……それけっこう苦労したんですけDo……お前暴れるかRa。
猪里はぷいっと横向いて、
再びコントローラーを持って、スタートボタンを押しTa。

ハァ……。

猪里ちゃん?
オレんちに泊まるのOKしたってことは、
どういうことか、分かってRu……?

テレビ画面見ると、たいががドアを開けて家から出て来るとこだっTa。
……オレ、たいがに嫉妬しちまうかMo……
オレがオレに嫉妬って、そんな話あるかYo!って思ってたRa、
石畳の地面を割って、モグラが現れTa。

『くおらー!ちょっとまたんかい こら!』

「な、なん?」

そのツルハシ担いだモグラは、何だか知らNeーけど、すっげぇ怒ってRu。
もぅめちゃくちゃ怒ってRu。
しかも大阪弁De。

『……あのな たいが
 ごまかしてもアカンねん!
 リセットしたら リセットセンターのランプがてんめつしてなぁ
 すぐにわかるようになってるんじゃぁぁあ!』

「わー、なんや黒豹に怒られとぅごた……」
猪里は混乱しながらもAボタンを押しまくっTa。

『……まぁきいてくれや ちょっとかんがえてみ?
 ふだんのせいかつのなかにリセットなんて あるか?
 ないやろ? な?
 それがふつうや あたりまえやがな』

モグラは、リセットがもたらす功罪についてとうとうと捲し立ててRu。

『……ほしいアイテムが でてくるまで 
 なんかいも リセットして やりなおすとか
 きにいらんことがあったから
 なかったことに するとかな
 そういう セコイ あそびかたはな
 たいが こんかいは やめとこうやないか』

「長かねぇ……いつまで喋っとっと?」

『……きょうは このへんで かんべんしといたろうか!
 ただしやくそくやで もうにどと リセットはしたらあかんでぇ!
 あ そうそう さいごに ひとつ
 ちゃんと フロにははいれよ!わかっとるな?!
 ほな!』

モグラはやっと地中へと帰った。

「お前の所為でヘンなモグラに怒らるったやろが!」
ギロリと睨まれTa。
「ごめんなSai……」
「虎鉄なんかもー知らんけん!ばか!エロ!」
うわ、すげぇ怒ってるYo……!
オレ、ひょっとして取り返しつかないコトしちまったとKa?

ココで「怒った顔もカワEーv」なんてポロッと本音を漏らそうものなRa、
オレぜってーボコられRu……瞬殺コンボ喰らう……(恐)
So、経験者は語Ruってヤツ?
オレは幾多の死線を掻い潜ってきたのSa……猪里という名の戦場でNa………………フッ。

…………。

Oh、ニヒルな笑顔で渋くキメてる場合じゃねーYo!

ちら、と猪里を窺ってみRu……
いつ見ても長ェ睫毛だNa……重くないのかNa?
薄赤いほっぺの横顔、今日もソーゼツに可愛いZe。

……それなのNi……
「俺に指一本でも触れてみぃ!ボコしちゃー!」オーラ出まくりで、恐ぇYo!

Ahー……どうしYo……
DoーすりゃいいんDa?!
ゲームだと、ポチッとNa☆ってリセット出来んだけDo。

うーN、なんとか出来ねーモンかNe……

さっきのモグラのオッサンは、リセットはダメって言ってたけDo、
したくなる時もあるってNo!

Na、猪里、モノは相談なんだけDo、
お前がこのソファに座るトコらあたりから、やり直しさせてくれないKa?

お願いだかRa……

オレ今度は抜かりなくやるからSa……

なぁ、猪里……

……コッチ向いてYo……




「虎鉄?」

「Haiッ?!」

「そげん、びっくりせんでちゃ……」
びっくりするっTe!
イキナリそんな、汚れないクリクリの目を向けられると、余計Ni!

「あんな、」
「N?」
「……俺あしたまでおっても……よかっちゃろ?」
「Eーに決まってるYo!ってか、いて下Sai!
 何なら、ネエちゃんの部屋片付けるかRa、
 引っ越して来てくれてもいいZe!
 あ、いや、来てくれてもEーじゃなくTe、ゼヒ来てYo!」
息急き切って言うと、猪里はくすっと笑っTa。
「お前……お姉さんの意思ば無視しとるよ?」
「いーYo、あんな姉貴どうだっTe。
 Na、居てくれYo……いっしょに過ごSo?」
最後の方、オレはありったけの誠意を込めて言っTa。
すると、猪里は目を反らしてうつむいTa。

「おっても、よかと?」

「だかRa、いて欲しいNo!」

「……やったら、そげん焦らんで?」

「……あ……」

これっTe、これっTe!
ちゃんと抱かれるつもりでいるからガッつくな、ってことだよNa?!

そうだよNa?!

……Doーしよ……スゲェうれCー!

「わかったと?」
「Haiッ!わかりましTa!」

猪里は「わかればよか」って素っ気なく言っTa。
でも耳まで真っ赤だYo……カワEー♡

オレは抱きつきたくなるのを堪えて、肩に手を回す……
しかし、なぜかオレの手は、スカッと空を掴んDa。
猪里は、他のゲームソフトを見にソファを立ってしまったかRa。

「やっぱぃプレステにしよ……何かオススメなかと?」
「猪里、猪里、」
「なんね?」
「オレ、オレ、」
「はぁ?」
「だから、『オススメ』オレだかRa☆」
「お前げなで遊んだっちゃ、面白ぅなかっちゃん」
「そんなこと言わずに遊んでYo、いい仕事しますZe~ ダ・ン・ナ ♡」

「その『いい仕事』がバリ怪しいっちゃん!」
猪里は、心底可笑しそうに笑った。

ああ、猪里の笑顔はベラボーキュート!
最高ッ!


リセットなんて、ホントの人生じゃ、したくてもできNeぇ。
それぐらいオレだってわかってRu。
さっきは、凹んでちょい狼狽えちまったけどNa。

そんなコトしなくたっTe、
ヘマしてMo、倒れてMo、身ぐるみ剥がれて所持金0になってMo、

男なら、そうDa、目指すは全クリDa!

「猪里~~~!」

「ぎゃー!お前さっき言ったこと、いっちょんわかってないやん! 寄るなぁーーー!!」

「全クリさせTeーーー!」

「な、なんね?!意味わからんけんね!放せーーーっ!!」



積み重ねて、積み重ねて、こんな日常Wo。

「放せって、言いよると!」

受け止めて、Neぇ、受け止めて、この溢れる想いWo。

「放さNeーー!」

虎鉄大河、男15才、職業高校生。

猪里を攻略する旅は、まだ序盤だZe!


頑張るZeーー!!












よりぬきお題さん。(’04.12.28初出)